特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)の違い 後半編
特養・老健ともに居室タイプは四種類
特養や老健の居室は以下の4種類に分けられます。
多床室
1部屋に定員2人以上で暮らす
従来型個室
1人部屋
ユニット型個室
複数の1人部屋とリビングなどの共用設備がひとつの単位(ユニット)ごとにある
ユニット型準個室
壁上部が天井から一定程度空いている、居室面積が狭い等、ユニット型個室と同じ水準ではない個室。ユニット型個室と同様に複数の部屋がひとつのユニットとして設置される。
設備の内容は各施設の方針によって差があり、施設の種類(特養か老健か)で大きな違いはありません。
ただし、老健はその目的から特養よりリハビリ施設が充実していることが比較的多く、医師や看護師などの医療従事者の人員配置も手厚くなっています。
費用
特養と老健にかかる費用は、ともに入居一時金がなく、月額費用のみです。
月額費用の内訳も両施設で共通しており、「施設サービス費+居住費+食費+その他日常生活費」の合計を支払います。
居住費と食費
「居住費と食費」は、各施設と利用者との契約の内容によって異なりますが、施設サービス費は同じ地域であれば一律です。
ただし、介護度と部屋のタイプによって異なり、介護度が高い人ほど費用も高く、部屋のタイプもユニット型個室が最も高く、従来型個室、多床室の順に安くなっていきます。
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施設サービス費
「施設サービス費」は特別養護老人ホームと比べて介護老人保健施設の方が、費用が若干高くなります。
日常生活費を除く基本的な費用は、いずれもひと月8万円~13万円程度(介護度や部屋のタイプで異なる)が基準になります。
ただし、生活の場である特養とは違い、老健では少しでも早い在宅復帰を目指すためにリハビリに重点が置かれています。
リハビリができる設備や体制、行った介護内容で施設サービス費に加算される場合があるため、一般に老健の方が特養より費用が掛かることが多いです。
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医療費
ただし、老健では日常的に必要な医療については最初から施設サービス費に含まれており、老健に入所している間に該当する医療行為を行っても、別途医療費はかかりません。
日常的に必要な医療とは、血液や尿などの検査や傷を消毒するなどの処置、その他投薬や注射などです。
このため、ある程度の医療行為であれば医療費を気にせず治療を受けられます。さらに、老健の施設サービス費は医療費控除の対象となり、場合によっては税金の還付も受けられます。
対する特養での医療行為は、すべて医療保険を利用して、施設に支払う利用料とは別に負担が発生します。
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入居期間
特別養護老人ホームは『終の棲家』とも呼ばれ、基本的に終身利用を前提とした施設です。
一方で、介護老人保健施設は、病院から退院してすぐに在宅生活を始めることが難しい人が、リハビリを行いながら一時的に入居する施設です。
3ヶ月ごとに在宅復帰ができる状態かの確認が行われ、復帰が可能とみなされれば退居となります。
在宅復帰が難しいとみなされた場合は、長時間滞在することも可能ですが、特養と違い、終身入居を目的とした施設ではありません。
実際に、2018年の福祉医療機構のデータによると、老健の平均在所日数は348.9日となっています。
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今後はより在宅復帰機能が強化される
近年、老健の在宅復帰機能を強化するという国の方針のもと、近年、在宅復帰率の高い老健が増えています。
在宅復帰率が高い施設はリハビリテーション専門職員が多い傾向があり、集中してリハビリを行うために短期間での在宅復帰が可能になる一方で、長期入居はより難しくなってくると言われています。
在宅での受け入れ態勢を整えることが難しく、長期入居を希望する方は特別養護老人ホームを探してみるのも良いでしょう。
ただ、特別養護老人ホームは人気が高く入居待ちですぐに入れない場合があります。そんなときは、民間が運営する有料老人ホームを検討することもおすすめします。老健や特別養護老人ホームのように、入居一時金が必要ない老人ホームもあります。
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まとめ
今までお伝えしてきた通り、特養と老健では、その役割が大きく異なります。生活の場となる特養では、生活支援の介護が中心になり、終の棲家として最期まで入所することが可能です。
一方、在宅復帰を目指す老健ではリハビリを中心とした介護を行い、短期で退所します。
しかし、特養も老健もその施設ごとの方針によっても設備や費用が異なるケースがあります。
施設の種類による違いを意識しながらも、介護される方が最も重視したいサービスを行っているかどうか、施設ごとに確認することが重要です。
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